子ども達の集合写真の並べ方と撮り方について
子ども達の集合写真を撮影する時のカメラ設定方法 (kidsphotopastel.com)
今回は集合写真の撮り方~後編~として、実際に並べて撮影までのお話をしたいと思います。
基本的な考え方(基準)が頭に入っていますと、幼稚園や保育園・習い事での集合写真など、様々なシーンごとに対応も可能となってきますので、是非、ご参照ください。
① 並ぶ順番について
5人ぐらいであれば、横1列でも差し支えないですが、8人ぐらいからは2列の方が大きく撮影できるので、2列にした方が無難でしょう。
並ぶ順番の基本的な考え方は、「背の順(小さい順)に前から並んでいただく」ということです。というのも、背の大きい子が最前1列目にいると、後ろの子が見えずらく困ったことはないでしょうか。
ここで1点、気遣い・配慮したいポイントとしましては、「女の子はスカートを履いていることもあるので、1列目はズボンを履いていることが多い、男の子を1列目」にしましょう。
ただ、今回の参考写真のように基本の並び方が難しい場合は、背の小さい子でも2列目にして、1列目はしっかりとしゃがんでもらうことや、1列目にするのであれば、地面に座って足をのばしてもらうことや椅子に座ってもらうなど、様々な応用が必要も場面もありますが、今回は現場的に子ども用の椅子の準備があるハズもなく、かといって、衣装が砂まみれになるので地面に座ることも難しいこともあり、2列目にする判断をしました。
という感じで、カメラマンは写真の知識や技術だけでなく、「気遣い」も大切なスキルです。写真を見たご本人やご家族様・関係者様の事まで考えて、並ぶ順番を考えましょう。
② 並び方について
先の並ぶ順番でも少し触れましたが、並び方の種類につきましては、下記の通りとなります。
5列目 ステージ上に、椅子立ちや高めの台立ち
4列目 高めの台立ち・椅子立ち・ステージ上立ち
3列目 床立ち・中腰立ち・高めの台立ち・椅子立ち
2列目 床立ち・低めの台立ち・中腰立ち
1列目 しゃがみ・床座り・椅子座り
など、現場の状況や準備出来るアイテム・人数等によって、様々なパターンがありますので、上記で全てではないですが、それでもいきなり全部は覚えられないかと思いますので、よく撮影する人数によってピックアップ(抜粋)をしていただければと思います。
集合写真の形としては、シルエットで見た時に「台形」が良いとされております。
2列目以降は前に人がいるので、顔隠れの対策をしたとしても、少なからず顔隠れのリスクはあります。それを少しでも防ぐ為、1列目が基本的に並ぶ人数が多く、列が増えるたびに徐々に少ない人数で並ぶ事になるので、自然に台形にはなりますけどね。
ただ、スポーツ系ではありますが、逆台形で撮影することもあります。
③ 並ぶ時の向きと構図について
並べる時の方向の考え方としましては、屋内であれば背景に入れる指定の物がなければ、トイレなどの見栄えが思わしくない物が入らない位置ならば構わないと思います。
ただ、屋外の場合は晴れていると、太陽の強烈な光がありますので、太陽光は無視できません。なので、何よりも先にまずは光の対処をしましょう。
光の考え方として、ポートレート(人物)撮影の場合は、「逆光」で撮影することです。理由は、皆さまもお子さんの写真を撮る時に困ったことがあるかと思いますが、順光ですと太陽光で眩しく、表情が作りづらい為です。
「逆光で撮影すればいいんですね!」といって、真逆光(太陽光の真正面)は気を付けましょう。昼間(日中)は太陽が高いので問題はないですが、季節や時間帯によりますが、参考写真は夕方の時間帯で太陽がかなり下がってきていましたので、レンズに直接、光が入ってしまうと「ゴーストやフレア」が発生してしまう恐れがありましたから、少し斜め逆光にすることで回避しております。
光の対処をしましたら、今度は背景です。冒頭でも少し触れましたが、見栄えがあまりよくない物が入らないように気を付けましょう。
参考写真で意識したことはイベント会場でしたので、どこに行った時の写真なのかが分かるように、また、イベント会場の雰囲気が分かるように、屋台が入る位置にしました。
せっかくのイベント会場で、背景が壁や地面とかでは寂しいですからね。想い出に残るような背景選びといったプロデュース能力も、想い出に残る集合写真にするためにも、カメラマンとしても重要な要素の1つかと思っております。
構図の考え方としましては、下1:上2の割合が基準となります。
左右につきましても、人が2~3人分入る余裕があると、傾きがあった時に修正が出来るので、余裕は持たせた方がよいでしょう。
特に、「今ちょっと時間があるので、集合写真をお願いします。」という、予定に無かった集合写真を急遽、撮影するシチュエーションになった時は、三脚などの準備していては時間がかかる為、手持ちで撮影することもありますので、きっちり詰めてではなく、少し広めに余裕を持てせて集合写真を撮るように心掛けしましょう。
④ カメラの高さについて
カメラの高さにつきましては、1列目の顔の高さと最後列の顔の高さの真ん中という考え方が基本になります。
ただし、高い建物を入れる時は、低い位置から撮影することもありますし、幼稚園・保育園とかの芋掘り撮影で、地面の苗が写るように上から撮影するといった特例もあります。
撮影場所を決める時に、「背景に何を入れるのか?」までを考えて、集合写真の撮影場所を決めると良いでしょう。並んでからの移動は、時間や手間を考えると難しいですからね。
⑤ カメラの方を見て貰えるように、子ども達に声掛けしましょう
顔が見えるように並べ終えましたら、最後はカメラの方を見てもらわなくてはなりません。でなければ見返した時、目線がバラバラで、ただ集まっただけになってしまいます。
小学生以上の年齢であれば「カメラを見てねー。」とか「撮るよー。」とかでも、「仕方ないな・・・」と割り切って見てくれることが多いですが、幼稚園や保育園など年齢が低ければ低い程、そうはいきません。
ましては、参考写真もそうでしたが、わたくしの後ろには保護者様が居る状態での撮影になりますと、難易度は驚異的にアップ!子ども達はもちろん、パパさんとママさんがいる方を見ますからね。
カメラへの引き付け方は、カメラマン自身のスタンス(撮り方)があるので、一概に「こうです!」とは断定が出来ないのが本音。
ただ、あえて区分するとしましたら、「キャラクターのぬいぐるみ等の道具を使用する方法」と「コミュニケーションを図る方法」の、大きく2つに分かれるかと思います。
特に、幼稚園や保育園とかで集合写真を撮影する際は、ぬいぐるみ等の道具を用いることが多い傾向です。
ちなみにわたくしの場合は、後者のコミュニケーションを子ども達と図りながら撮影する方法で撮影しています。
理由は色々あるんですが・・・
自身に撮り方が確立していないと、ぬいぐるみを忘れた時に困る。
ぬいぐるみ頼りになると、子ども達が受け付けてくれない時にお手上げ状態になる。
ぬいぐるみを振って「こっち見てね~」だと、目線はくるけど、子ども達は真顔。
など
なので、わたくしは並べる時から子ども達に話し掛けて、自身をアピール(笑)
例えば左右に位置を移動して欲しい時は、ただ「右に動いてね」ではなく、カニさんの格好して遊び感覚で右に動いてもらったりね。
そして撮る直前は、可能であれば時間を少しいただき、「導入の時間」を設けると撮影時がよりスムーズに進むかと思います。
私の場合は、オーバーアクションで声は大きめに自己紹介や挨拶とかですね。たとえば今回の場合は「ダンスお疲れ様でした!最後は皆一緒にイエーイ!と笑顔でお写真を撮ろうね~。」とかです。時には、前職の保育士の経験から、手遊びをして親しみや楽しい雰囲気を作ってから、撮影をはじめたこともありました。
子どもに限りらず大人もそうですが、「この人、面白そう・・・」と思ってもらえると、「集合写真を撮る時、なんて言うのかな?」と、「興味を持って自分を見てもらえる=カメラの方を見てもらえる」に繋がりますからね。
幼稚園・保育園での集合写真の場合は特に、「こっち見て!」ではなく、見てもらえるように、興味を持ってもらえるように、自身が一工夫することが必須かな。
先の「ぬいぐるみ」を使うにしても、「声を変えて、子ども達に話し掛けるように使う」のであれば、全然ありだとわたくしも思ってます。
感情のある「人」に対して、「万人受けする引き付け方の基準はない」ですからね。
わたくしも何年もトライ&エラーで試行錯誤して、今の形に落ち着きました。「自分を見てもらうためには?」「笑顔を引き出す為には?」の2点を課題にし、その課題に向けての方法や対応策を考えてトライ。上手くいかなかったら、別のやり方(対応策)を考えて再度トライ。根気よく、その繰り返しでしかなかったですね。
過去、カメラマンの中には、手品をしていた方も居ました。あれには、わたくしも見とれてしまいましたわ(笑)
2記事に渡って集合写真の撮り方のお話をお伝えをさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
ご質問とかも受け付けておりますので、お気軽にご相談をお寄せくださいませ。
2024年04月07日 13:14